💡 この記事の3行まとめ

  1. 速さを決めるのは、1回の翻訳時間ではなく工程の総数です。ただし、やみくもに削ると効果が出ません。削る順番に基準が必要です。
  2. 基準は2つだけ。その作業が1案件で何回出てくるかと、1回あたり何秒かかるか。この積が大きい工程から削ります。
  3. Mac専用OCR翻訳『Zipp』は⌃Sで囲むだけ、0.3秒、Apple Visionの端末内処理で画面画像の外部保存ゼロ。無料でダウンロード(登録不要)、1日15回までです。

📌 この記事の対象読者

  • 翻訳の手段はもう決まっているのに、作業全体が速くなった実感がない方
  • 誌面の英語チェックに毎回半日かけていて、短い納期で回している方
  • 効率化の対象を選ぶ基準を持ちたいが、感覚で決めている方

「速い手段」を入れたのに、案件は速くならない

英文を読む手段を速いものに変えたのに、1案件の所要時間がほとんど変わらない。この経験がある人は多いはずです。理由は単純で、読む作業は案件全体の一部だからです。

InDesignの英語チェックを、実際の流れで見てみます。英文の場所を探す、テキストか画像かを判別する、範囲を決める、コピーする、翻訳へ切り替える、貼り付ける、結果を読む、誌面へ戻る、元の位置を探し直す、修正指示をメモする。この10前後の工程が、1案件に何度も出てきます。見出しで20箇所、キャプションで15箇所、注記で10箇所。合計すると、同じ工程を15回近く繰り返していることになります。

ここで起きる誤解が2つあります。

1つ目は、いちばん時間のかかる工程を削れば速くなる、という誤解です。 実際には、1回3秒の作業を15回繰り返すと150秒。1回20秒の作業を3回繰り返すと60秒。回数の多い軽い作業のほうが、総時間では大きいことが普通にあります。

2つ目は、上流を残して下流を削る、という誤解です。 範囲指定や判別といった上流の工程を残したまま、翻訳結果の読み方を工夫しても、待ち時間は減りません。上流で発生した迷いが、下流のすべてに効いてくるからです。

つまり必要なのは、工程を書き出してから順番を決めて削ることです。順番を決めずに削ると、効果の小さい場所から手を付けて、疲労だけが残ります。


解決策:出現回数×1回の時間で、削る順を決める

難しく考えなくて構いません。2つの数字を掛けて、大きい順に並べるだけです。

手順1:工程を「回数」で数える

まず、1案件の中での出現回数を数えます。誌面を見て、英語が入っている箇所を種類ごとに数えます。見出し、リード、キャプション、注記、表のセル、商品名。種類ごとのおおよその数で構いません。

次に、それぞれの箇所で「何をするか」を書き出します。ここで大事なのは、種類ごとに手順が違うと気づくことです。見出しは短いので範囲指定が一瞬で済みますが、表のセルは1つずつ囲むと回数が跳ね上がります。注記は文字が小さく、拡大が必要になります。同じ「翻訳」でも、回数も1回あたりの手間も違う。これが見えると、削る順番が決まります。

手順2:回数×1回の時間で、削る順を並べる

それぞれの工程について、出現回数 × 1回あたりの秒数 を出します。正確な秒数は要りません。「1回5秒くらい」の概算で十分です。大切なのは順位が入れ替わることです。

たとえば、表のセルが40個あり、1つあたり8秒かかっているとします。320秒。見出しが20個で1つ3秒なら60秒。この場合、先に削るべきは表のセルです。ところが感覚では「見出しのほうが目立つ」ので、見出しから手を付けてしまう。目立つ作業と、時間を食っている作業は違うのです。

並べた結果、上位2つを削れば、たいていの案件は半分近くまで縮みます。全部を削る必要はありません。上位から2つで十分です。

手順3:残った工程を、誌面の読み順に並べ替える

削った後、残った工程の順番を組み替えます。ここが最後の仕上げです。InDesignの誌面には読み順があります。左上から右下へ、見出しから本文へ。この順序で囲んでいくと、元の位置を探し直す工程が消えます。囲んだ場所のすぐ下へ視線が動くため、画面の中を探し回る必要がなくなります。

⌃S(Control + S)を押して囲むと、0.3秒で訳が最前面に重なります。誌面は隠れず、ズーム位置もそのまま。訳を読み終えたら、視線を少し下へ移して次の英文を囲む。この流れが途切れません。処理はApple Visionフレームワークによる端末内処理で、画面画像の外部保存ゼロです。

無料でダウンロード(登録不要)、1日15回まで。回数に限りがあるからこそ、「どこから読むか」を先に決める癖がつきます。読む順番を決めてから囲む。この順序自体が、いちばんの時短になります。


工程を削る順番 比較

【削る基準】
従来:体感で重い作業、目につく作業から
Zipp:出現回数×1回の時間が大きい順

【表のセルなど反復作業】
従来:1つずつ選択・コピーで回数が膨らむ
Zipp:⌃Sで囲むだけ。回数が増えても軽い

【上流の迷い】
従来:判別と範囲指定で迷い、下流全部に波及
Zipp:判別を挟まず、見えた範囲を囲む

【探し直しの工程】
従来:訳を見た後に元の位置を探し直す
Zipp:誌面の読み順に囲めば探し直しが消える

【効果の出方】
従来:改善した場所だけ速くなり、全体は変わらない
Zipp:上位2工程を削れば案件全体が縮む

【速さの測り方】
従来:1回の翻訳時間で比べてしまう
Zipp:1案件を読み終えるまでの総時間で比べる


よくある質問(FAQ)

Q. 回数を数える時間がもったいない気がします。 A. 1案件目だけ数えれば十分です。同じ種類の誌面なら、回数の傾向は毎回ほぼ同じです。2案件目からは「表のセルが多い」「注記が多い」という特徴だけ把握すれば、削る順番は再現できます。

Q. 上位2つを削っても、まだ間に合いません。 A. その場合は3番目ではなく、囲む順番を見直してください。読み順に沿って囲むだけで、位置探索の工程が消えます。工程を減らすより、順番を替えるほうが効果が大きい場面があります。

Q. 全部を訳さないと、見落としが怖いです。 A. 見落としを防ぐのは、訳す量ではなく確認する種類の網羅です。見出し、商品名、効能表現、注意書きの4種類を必ず見る、と決めておけば、量を絞っても抜けは減ります。

Q. 1日15回で足りない案件はどうすればよいですか? A. まず囲む単位を大きくしてください。1段落をまとめて囲めば、回数は減ります。そのうえで、訳す必要のない型番・単位・URLを対象から外します。上限は毎日回復するので、翌日に分ける選択肢もあります。


速さは、削る順番で決まる

効率化というと、いちばん重い作業を取り除く話だと思われがちです。しかし実際の案件では、回数の多い軽い作業が時間を持っていきます。だから数えて、掛けて、大きい順に削る。この3手順だけで、同じ道具のまま、所要時間は大きく変わります。まず次の1案件で、英語が入っている箇所を種類ごとに数えるところから始めてください。

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